アステルちゃんは性欲の弱いヒュム族である
「アステルーー!!」
キッチンで朝食の準備をしていると、寝室からヒューズさんの叫ぶ声が聞こえる。彼はドタバタと物音を立てながら部屋を飛び出し、私を見るや否や腰に縋りついた。
「勝手に俺を置いて行くな!なぜ俺を起こさないのだ!」
「でも朝ごはんを作らなきゃいけませんし、ヒューズさんよく寝てましたから……」
「ぐすっ…お前が隣にいなくて心臓が止まるかと思ったぞ。明日からは絶対に起こせ」
「うーん、わかりました」
「フン、わかればよいのだ」
ヒューズさんは立ち上がり涙を拭うと、私を後ろから強く抱き締める。腕すら動かすことのできなくなった私は、小さくため息を吐いて火を止めた。
「ヒューズさん、お料理の続きができません」
「ううっ…お前は俺より料理の方が大事なのか……」
「そんなわけないですよ。ヒューズさんが一番大事で大好きです」
「…アステル!俺も好きだ!」
「ま、待って下さいヒューズさん…!先にご飯を……」
「後でいいだろう…もう我慢できないのだ……」
エプロンの下に彼の手が入り込み、乳房を掬い上げ、太腿を撫でる。昨晩の情事が残る私の身体はすぐに愛液を滲ませた。性急に下着を下ろされ、膣口に彼の熱があたる。
「挿れるぞ…んっ……」
「あっ♡」
後ろから最奥まで一気に貫かれ、そのまま激しい抽送が始まる。私がシンクの縁に手をかけると、ヒューズさんは私のお尻を突き出させる。背の高い彼に腰を持ち上げられ、私は段々と爪先立ちになっていった。
グチュッズチュッズチュッグチュンズチュン
「はあっ、はあっ、アステル、好きだ」
「あっ♡ヒューズさん♡あっ♡んっ♡ああっ♡」
「ああ…気持ち良い…腰が…止まらぬ……」
「んっ♡こんなところで♡ダメなのに♡ああっ♡」
「お前が…可愛すぎるのが悪いのだ…うっ…はあ…アステル…出そうだ……」
肌がぶつかり合い、太腿に水が垂れ落ちる。硬いペニスで何度も抉られ、快感に喘いだ。
「はあっ、アステル、イくぞ、んっ、あっ、あ、うああ!」
「ああっ♡♡」
ビュルルッビューッッ
ビクンッビクンッ
手に力を入れ、膝から崩れ落ちそうになるのを耐える。ヒューズさんは荒い呼吸のまま私を抱き締めた。
「気持ちよかった…お前のナカは温かい…ずっと入れていたいぞ……」
「そんな…何も出来なくなっちゃいます」
「何もしなくていい。俺はお前さえいればそれで……」
******
仕事に出かけたヒューズさんを見送り、街で買い物をしているとジャミさんにばったり会い驚く。久しぶりに会った私たちは彼の知り合いのお店で少し話すこととなり、路地裏にある地下への階段を降りていった。
薄暗い店内には私達以外誰もおらず、彼は手慣れた様子でカウンターの中に入り棚から瓶を手に取った。
「アンタもリンゴジュースでいいかい?」
「はい。ありがとうございます」
「ここは酒以外ろくなモンは無いが、秘密の話をするにはうってつけの場所だからな」
「えっ……」
「ククッ、あのウサギさんのことで悩んでるってアンタの顔に書いてあるぜ?」
内容が内容なだけにためらわれるが、ジャミさんにしか相談できないかもしれないと思い、勇気を出して話してみる。しかしすぐにニヤニヤと笑う彼を見て、恥ずかしさにいたたまれなくなった。
「へえ、お盛んだねえ」
「ヒューズさんに悪気はないのはわかっているんですけど、家にいる時はずっとなので家事もままならなくて…やっぱりこんな相談されても困りますよね、忘れてください」
「待ちな」
椅子から立ち上がろうとした私の前に、ジャミさんは透明な液体の入った小瓶を置いた。
「性欲が抑えられる薬だ」
「ええっ!本当ですか!?」
「ああ、効きすぎて無くなっちまうかもしれないけどねえ?ククッ」
「そ、それは困ります。もしかして危険なものなんですか…?」
「気になるならアンタが先に飲んでみればいい。式には顔を出せなかったからな…俺からの結婚祝いだ。ククッ、アンタの腰が壊れてからじゃ遅いぜ?」
帰宅した後、ジャミさんから貰った薬を少し飲んでみるが特に変化は起きなかった。
ヒューズさんは日が沈む頃に帰宅し、私は半信半疑で彼のお茶に入れ夕食と一緒に出す。彼は普段と変わらないように見えたが、いつも一緒に入っていたお風呂は別々にしようと言われ、私たちは一切触れ合うことのないままおやすみのキスもなくベッドに横になる。
「えっと…ヒューズさん、どこか体調が悪くなったりしてませんか?」
「別に、いつも通りだぞ」
「そうですか…おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
翌朝、ゆっくり眠れたおかげで身体が格段に軽い。隣に彼はおらず手に触れるシーツはすでに冷たかった。キッチンに行くと焦げた目玉焼きとパンが用意されており、その横には『夕方には帰る』とのメモが置かれていた。
*****
それから一週間が経った頃、また街で偶然ジャミさんに出会った。同じ開店前のバーでぬるいリンゴジュースに口を付け、私は溜息を吐く。
「実はヒューズさんにあの薬を飲ませてから、本当に性欲が無くなってしまったみたいで……」
「へえ、それは良かったねえ」
「良くありません!毎日朝早くに出かけてしまうんですけど、聞いても散歩だって言われるし…一緒にいる間も手を触れることすらないんです。ジャミさん、ヒューズさんを戻す薬はありませんか…?」
「おやおや、戻すのかい?せっかくアンタが望んだ通りになったんだぜ?」
「それは…でも、全く触れ合えないのは寂しいです……」
「はぁ…自分勝手だねえ。ウサギの性欲が強いのは結婚前からわかっていただろ」
「はい……」
「アンタたちは死ぬまで一緒にいると誓い合った。だけどそれでお互いの気持ちが全て分かるようになったワケじゃない。アンタたちは別のイキモノだからな。思い通りにならないコトなんてこの先いくらでもある。その度に薬で相手をどうにかしようするのが夫婦かい?」
「…私、間違ってました!ジャミさん、ありがとうございます!」
「ククッ、ようやく分かったか。ちょっと耳を貸しな」
「はい」
ジャミさんの方に身を乗り出すと、頰をペロリと舐められる。懐かしいピリピリとした痺れが走り一気に熱が上った。
「きゃあっ!」
「ククッ、これでチャラにしてやる。やっぱりアンタの肌は最高だぜ。ヒューズくんに愛想が尽きたらいつでも俺が相手してやるよ…なあ、アステル?」
*****
「おい、帰ったぞ……」
「ヒューズさん!」
夕方、帰宅したヒューズさんを見るや否や、私は飛びつき彼を抱き締めた。
「うわあっ!き、急にどうしたんだアステル!」
「ヒューズさん、ごめんなさい!私、ヒューズさんに黙って性欲を抑える薬を飲ませてしまって……」
「性欲を抑える薬?何のことだ?」
「えっ、一週間前からえっちな気持ちがなくなったんですよね?」
「…無くなってなどいない。一週間前、俺はジャミから交尾が目的で結婚したとアステルに思われていると聞いたのだ。だから俺はお前に触れるのをやめた。たとえ交わらなくとも俺はお前と一緒にいたい。それを証明するために我慢していたのだ」
「そうだったんですか…!ううっ…ヒューズさん、ごめんなさい…ぐすっ……」
「なぜ泣くのだ!お前が泣くと俺も悲しく…ううっ……」
私が罪悪感から涙を零すと優しいウサギも貰い泣きをし、真っ赤な目を腫らした。私たちは抱き合ったまま一頻り泣き、ソファに並んで腰かける。
「本当にごめんなさい……」
「いや、俺もお前にきちんと話すべきだった。家にいると耐えられないから森の中で泣いて…わああ!今のは違う!断じて泣いてなどいない!」
「ヒューズさん……」
「ううっ…ぐすっ。アステル、俺はお前に嫌われたら生きていけない。お前の夫なのに、ジャミに言われるまで気持ちに気付けなかった。俺は夫失格だ……」
「そんなことありません!ヒューズさんは私のために頑張ってくれましたし…薬になんて頼ろうとした私の方こそ妻失格です」
「失格なわけないだろう!元はといえば俺が悪いのだ。アステル、これからはお前の気持ちを全部俺に言ってくれ…俺はずっとお前と一緒にいたいのだ」
「はい。私たち、夫婦ですもんね。あの…ヒューズさん」
「どうした?」
「今日は私に触れてくれますか?」
「っ、ああ!もちろんだ!」
*****
ベッドの上で仰向けになったヒューズさんの顔に跨るように、私は四つん這いで覆い被さる。目の前には彼の綺麗なペニスが膨らみ震え、匂いまでも分かる距離に私の心臓は大きく脈打った。
「アステル…この体勢はなんなのだ…?」
「えっと…二人で一緒に舐めるためにいいかなって思ったんですけど…嫌でしたか?」
「そんなわけないだろう。お前の大事なところがよく見えて…興奮する」
「…恥ずかしいです」
「フッ、恥ずかしがるお前も積極的なお前も…どちらも可愛いぞ」
私は羞恥心を紛らわせるように、急いでペニスに舌を伸ばし先端の丸い部分に這わせる。左右に動かし唇で包んでしゃぶってみると、ヒューズさんの腰が浮き下から艶っぽい声が聞こえた。
「んっ…アステル。あっ…気持ちいいぞ…俺も…お前を気持ち良くしたい……」
秘裂を指で拡げられ舌先がちろちろと触れる。そのまま花芽の方まで丁寧に舐められ、あっという間に蜜が溢れた。快感に身体を揺らしてしまうと、ヒューズさんは両腕を私の腰に回し固定する。
「んっ…お前の…もっと…舐めたいぞ……」
「あっ♡ヒューズさん♡引き寄せちゃダメ♡気持ち良すぎて♡」
「はぁ…はぁ…アステル…んっ…好きだ……」
ジュルッジュルッジュプッ
フワフワとした心地良さに腰が抜けてしまい、彼の顔に恥部を押し付けるような形になる。ヒューズさんはさらに深く舌を差し込んでうねうねと動かし、彼の生温かい息があたった。
「やあっ♡イっちゃう♡ヒューズさん♡ダメ♡」
「んっ、いいぞ…はぁ…はぁ……」
「イく♡イっちゃう♡ああっ♡」
ビクビクッビクンッ
私は目の前の肉棒をギュッと握り締めながら絶頂する。達した後もヒューズさんは舌で責めることを止めず、膣口は何度も収縮を繰り返した。
「あっ♡やあ♡ああっ♡まだ♡イったばっかで♡また♡イっちゃう♡」
「んっ…アステル…はあ…はあ……」
「やっ♡んっ♡んんっ♡はあっ♡んむっ♡」
私も対抗するように彼の陰茎を咥え、呼吸をすることも忘れ根元を激しく扱く。酸欠でくらくらする頭で肉棒に舌を貼り付かせ必死に動かした。
「ああっ!待て、そこは…あっ、アステル、出るっ!」
「んんっ♡」
ビュルルッ
口内で亀頭が弾けて白濁液が放たれ、私はそれを喉奥に流し込む。身体を起こしヒューズさんの顔の方に向き直ると、彼の腰の上に座り大股を開げ、まだ硬さの残るペニスを掴み宛った。
「ヒューズさん…挿れても、いいですか?」
「あ、ああ…こんなに積極的なお前は初めて見るぞ……」
「恥ずかしいですけど…もっとヒューズさんと繋がりたくて……」
「アステル…!うあっ……」
熱く昂る彼の陰茎の上に腰を落とし、濡れた膣口に挿入していく。じわじわと快感が侵食し、いつもより深い場所まで沈んでいった。
「んっ♡はあ…はあ…♡あっ♡奥に♡」
「この眺めは…すごいな。気持ち良すぎて…動かなくても…イってしまいそうだぞ……」
「私もです♡んっ♡あっ♡はあっ♡」
ゆっくり腰を前後に擦り付けると、いつもと違う場所が刺激され拡げられる。ヒューズさんの熱っぽい視線が注がれ、羞恥に膣内は締め付けを繰り返した。
ズチュ、ズチュ、グチュッ、ヌチュッ、グチュッ
「あっ…♡はあ…はあ…ヒューズさん♡んっ…♡」
「アステル…綺麗だ…んっ…はあ…はあ……」
「ヒューズさん♡んっ♡好きです♡大好きです♡」
「俺も好きだ…!アステル…愛してる……」
「ヒューズさん♡私も♡愛してます♡」
愛の言葉を口にする度に興奮が高まり、ヒューズさんのペニスも脈打ち膨らんでいった。私は結合部を見せつけるように背を反らし、はち切れそうな亀頭をクリの裏側に擦り付けてしまう。
「あっ♡んんっ♡ずっと気持ち良くて♡フワフワして♡こんなの初めてです♡」
「俺もだ…アステル、俺も動いても良いだろうか…?可愛いお前を見ていたら、もう我慢できぬ……」
「はい♡ヒューズさん♡」
彼と手を繋ぎ指を絡ませ、鼻先が触れるほど近い距離で見つめ合う。ヒューズさんは膝を立てると奥を押すように少し突き上げ、私の反応を見ながら段々速くしていった。
グチュングチュッズチュンバチュンバチュン
「はあ…んっ…アステル…好きだ…はあ…はあ……」
「あっ♡あっ♡ヒューズさん♡好き♡好き♡」
「好きだ…大好きだ…可愛い……」
「私も大好きです♡んっ♡イきそう♡」
「俺もイきそうだ…アステル、愛してる…一緒にイくぞ……」
「はい♡ヒューズさん♡愛してます♡あっ♡イく♡イっちゃう♡」
「はあ…はあ…俺も…イく…あっ…うっ」
「ああ♡♡」
ビュルルッ
ビクンッビクンッビクンッ
ナカの陰茎が一際大きく脈打った瞬間、熱い精が放たれる。じんわりとした温かさがお腹の中に広がり、私は満たされた気持ちで下腹部を撫でた。
「はぁ…アステル…一緒に…イけたな……」
ヒューズさんは嬉しそうに微笑みそう言う。私は彼の白い首筋に顔を埋め、陶器のように白く滑らかな鎖骨や胸板にも手を這わせると、見た目とは裏腹に熱く引き締まった肉感が伝わった。肌を密着させ、彼の早い鼓動を全身で感じる。
「お前の心臓の音が近くて…安心する…ドキドキして、すごく幸せだ……」
「私もです。ヒューズさん…大好きです……」
「俺も好きだ。アステル…俺の可愛い妻……」
彼の長い指が私の前髪を寄せ、額におやすみのキスが落ちた。