熱帯夜
どこまでも身体が沈んでいきそうな広く大きなベッドの上には、肌触りの良いシーツとクッションが置かれている。高い天井からはきらきら光り透ける布が垂れ下がりベッドの周りを囲んでいた。
ズチュンッグチュッズチュンッバチュンッ
熱に浮かされ意識が朦朧とする。赤い髪と褐色の肌が視界を覆い、部屋中に充満する甘ったるい香りが肺に満たされ思考や感覚を奪っていく。浮いた私の両脚の間に絶えず彼の太い杭が打ち込まれ、その度に叫びに近い声が出た。
「あっ♡あっ♡んっ♡ああ♡」
「はあっ、はあっ、アステル、出すぞ!くっ…うああ!」
ビュルルッビューーッ
ラーカムさんに腰を抱え込むように持ち上げられ、背が弓なりに反る。膣内のペニスが脈打ち震え、どろりとした白濁液が放出された。
剛直を引き抜かれた後も膣内は焼けるように熱く、頭から指先まで痺れていた。放心し荒い呼吸を繰り返していると、彼に身体をうつ伏せにされ、後ろからまた挿入される。
「ああっ♡」
「んっ…はあっ…はあっ……」
「まって♡ああっ♡んっ♡やっ♡ラーカムさん♡」
「なぜ待たねばならぬのだ…俺はまだ満足せぬぞ」
「あっ♡んっ♡まだ♡ダメ♡やあっ♡」
「くっ…凄まじい快楽であるな…アステル、煽るな。そのような声で鳴かれると理性が保たぬ……」
「煽ってない♡やあっ♡激しい♡おかしくなる♡」
「フッ、存分におかしくなればよい…俺に狂え。美しき俺だけの花…アステル…愛している……」
獣の交尾のように遠慮なく突かれ、私は枕に顔を埋めて呻いていた。最奥まで亀頭が捻じ込まれ、子宮が圧し潰される。脳内まで揺さぶられ思考する余裕もなく、湿った肌が激しくぶつかり合う音と彼の荒い呼吸、内側から聞こえる水音をただ聞いていた。
「んんっ♡うっ♡ああっ♡はあっ♡」
「はあ…はあ…お前の顔が見えず興醒めかと思ったが…この体勢も中々よいものだな。まるでお前を屈服させているかのようだ……」
「やあっ♡あっ♡ひどい♡んっ♡」
「おい、腰を引くな…!」
ラーカムさんは私にのしかかって突き刺し、私の膝は伸び切ろうとしていた。彼は私の膝を立てさせると腰を掴んでピストンし、罰を与えるように最奥を重点的に責める。
「おっ♡ぐっ♡うっ♡んん♡あ、っ♡」
「フッ、まだ乱れるか…愛い奴め。俺も興が乗ってきたぞ…もっとその喘ぎを聞かせよ」
「んっ……っ…うっ♡」
「なんだ抑えているのか?強情な女よ…これはどうだ」
パシンッ
「きゃあっ!」
破裂音の後、臀部にじんわりした痛みが広がる。子どものお仕置きのように叩かれたのに気付き、羞恥心がかき立てられた。
「ははっ、叩くとナカが締まって面白いな」
「な、やめっ♡きゃっ♡ああっ♡ラーカムさん♡いやあっ♡」
彼の大きな手で何度も叩かれ、そのたびに膣内は反応しペニスをギュッと締め付ける。ラーカムさんは強引に引き抜き、内壁で扱かれる感触を楽しんでいた。
抽送の勢いは止まらず、私はシーツを握り締め何とか意識を留める。
パシンッグチュンッパンッズチュパチュンッパンッパンッ
「やあっ♡あっ♡ラーカムさん♡叩かないで♡あっ♡ああっ♡」
「お前の身体は悦んでいるぞ…?俺に絡みつき…必死に精を搾り取ろうとしてくる。はあっ…欲しいのならいくらでもくれてやろう…!」
「ううっ♡んっ♡やあ♡あっ♡ああっ♡」
ビクビクッ
痙攣し続けた下腹部は愛液を溢れさせ暴力的に絶頂する。未知の感覚に身体を揺らすと、彼は無慈悲に追い立てるように最奥に亀頭を嵌め込み子宮口を蹂躙した。
「フッ、叩かれて達しているではないか。アステル、素直になれ…もっと俺を求めろ」
「はあ…あっ…♡」
限界を超えた身体からは一切の力が抜け、膣口からは肉棒が抜け精液が垂れ落ちた。半ば意識がなくなりかけた私に引き締まった胸板が密着する。お腹に腕を回され、固い肉棒にまた貫かれた。
「んっ…よい締め付けだ。アステル、気をやりそうなのか?」
「あ…うっ…♡」
「起きろ。まだ俺は満足しておらぬ」
ラーカムさんは私の勃起した乳首を摘まみ、無造作にクリを擦る。外からも内からも内臓が圧迫され、痛みと快感がまだらに意識を覚醒させた。首筋に汗が伝い、喉は干上がり掠れた声で喘ぎ悶える。
「ぐ…っ、ううっ…あっ♡や、あっ♡」
「まだ足りぬ。アステル、俺を感じるか?深く刻み込むがよい…お前は俺のものだ」
「ああ…お…く…ぅ…あっ♡こわれ、る……」
「フッ…それでよい。俺を包み込んで離さぬ…アステル、この感覚、形を身体で覚えよ。わかったな?」
「んっ…はあっ…う……♡」
「俺以外を見る暇もないほど愛してやろう。俺から離れることは許さぬ…んっ…アステル…アステル……」
ズチュンバチュンパンッパンッパンッ
興奮で身体が火照り高みへ昇りつめていく。膣内のペニスは精を吐き出そうと大きく脈打ち、行き止まりに叩きつけ貪欲に穿つ。
「はあ…はあ…っ…アステル…愛してる…んっ…いくぞ… 俺の与える精をすべて受け入れよ…!俺の子を孕めっ、ああ!」
「あっ♡♡」
ビュルルルッ
ビクッビクンッ
陰茎の根元まで詰め込まれ放たれた濃い精液を膣内で受け止める。私の足は爪先まで真っ直ぐ伸び、地上の暑さに苦しむ魚のように跳ねた。
酷く崩れた私の顔にラーカムさんは何度もキスをする。目の焦点は合わず意味のない音と息が口から漏れ、下半身は熱を持ち水音がいつまでも響き続けた。
******
「おい、アステル起きているか?」
「…………」
「…まだ怒っているのか」
昨晩私はいつの間にか気を失っていた。すでに太陽は高く昇っているが、全身が鉛のように重く、ベッドに転がるばかりであった。
ドアの開く音が聞こえ、私は頭まで上掛けを引き上げすっぽり隠れた。溜息と同時にベッドが軋み、彼が横に腰掛けたのを感じる。
「昨日はすまなかった。ディルにもやり過ぎだと灸をすえられた」
「…………」
「ようやくお前と繋がれて舞い上がっていたのだ…アステルよ、俺はどうすれば許してもらえる」
「…………」
「おい!何か返事をしろ!」
布が引き剥がされ眩しい光が差す。身体を丸めて逃げると、腕を引っ張られ顔を上げさせられた。
ラーカムさんは眉を吊り上げ必死な顔で私を見つめる。
「アステル、何を考えている。言わねばわからぬぞ」
「……しすぎて動けなくなるなんて、恥ずかしいです」
「それは全て俺のせいだ。お前は気にせずとも良い」
「あと…初めてでしたし…もっと優しくして欲しかったです……」
「そうか。ならばやり直すぞ」
「えっ!?」
「お前が望む通り動くと言っている」
ラーカムさんはそう言うや否や私の口を塞ぎ、角度を変えて何度も唇を吸う。下唇に噛みつき引っ張られ、彼の肩に手をかけたが力は入らなかった。
「んんっ…待ってください…!今からですか…!?」
「早い方がよかろう。お前はただ寝ていろ」
彼は私の手首を掴みシーツに縫い付けると、突然耳を舐め始める。生々しい水音が脳まで響き、温かく濡れた肉の這う感触に全身が粟立った。
「きゃあっ♡急にそんな…!」
「暴れるな…お前は耳を責められるのが好きであろう?」
「そんなこと言ってませ…んんっ♡」
「フッ、我が后はわかりやすくて可愛いな。耳だけで存分に感じさせてやろう……」
「あっ♡ 待って♡はあ♡うっ…んっ♡あっ♡」
外耳の溝を舌先でなぞられ、奥に優しく息を吹き込まれる。確かな快感がお腹の奥から生まれ、勝手に秘裂が潤んで太腿を擦り合わせた。
そんな私を見透かすように彼の手が脚の間に差し込まれ、下着の上を指の腹が優しく往復する。強すぎることのない甘美な刺激に、瞬く間に愛液が滲み薄い布を濡らした。
「んっ…ラーカムさん…あっ♡」
「昨夜はここに無理をさせてしまったな…痛くはないか?」
「はい♡んっ♡大丈夫、です♡」
「俺の舌でも労わろう。アステル、脚を開け」
「きゃっ♡あっ♡そんなところ♡あっ♡」
ラーカムさんは私の下着を脱がせ、恥肉を拡げ口を寄せる。陰部に舌先が差し込まれ生き物のように蠢く。膣口は心臓の鼓動に合わせ収縮し、溶けるような快感に身を震わせた。
「ああ…んっ…はあ…あ…♡」
「ほう…この角度から見るお前もよいな。んっ…お前の味も悪くない……」
「やあっ♡あっ♡はずかしいです♡」
「フッ、次から次へと溢れてくるぞ…もっとして欲しいのであろう?」
舌先を尖らせ奥まで突っ込んだり、平たいまま表面を舐め上げたり、翻弄しつつもしっかりと快感が蓄積されていく。赤く腫れた花芽は唾液に浸され弱く吸われた後、舌を乗せゆっくり潰された。
「はあ…はあ…あっ、んん…あっ♡♡」
ビクンッビクッビクッ
空気を送り続けられた風船が破裂するように不意に絶頂を迎える。痙攣が収まっても浮遊感は続き、胸を上下させて余韻を味わう。
ラーカムさんは私の反応を見て満足した笑みを浮かべた。彼は私の衣服を整え、隣に横になりそっと抱き寄せ頭を撫でる。
「ラーカムさん…これで終わりですか?」
「お前が達せたのでよい。今日は俺が傍にいるから休め」
「ありがとうございます」
「俺は優しく出来ていたか?」
「はい……」
「なんだ、まだ不満か?」
「いえ、ラーカムさんが良かったのか気になってしまって」
「ふむ、俺は十分満足しているが…奉仕を望むのなら歓迎するぞ」
「そ、そういう意味じゃないです…!」
私が慌てて否定するとラーカムさんは声を上げ、あやすように私を包む。綺麗な首筋に顔を埋め、彼の香りと体温を感じ、鼓動の音だけが聞こえた。二人の間には沈黙が落ち、時折彼の手が優しく髪を梳く。
「…心と身体を共に通わせるというのは、中々難しいものだな」
「そうかもしれません。でも、ラーカムさんとならできると思います」
「フッ、それでこそ我が后よ」
ラーカムさんの長い指が髪から頬に滑り、私たちは長いキスを交わす。彼の強い想いが流れ込んで胸を焦がし、水面のようにキラキラと輝く青い瞳に見惚れた。
「アステル、愛している。俺と共に生き、その目でこの国の未来を見届けよ」
「はい。ずっと一緒にいます…愛してます」