「さようなら、アステル。僕は君の幸せをずっと願っていますよ」
「そんな、待ってください…!先生、先生っ!いやあ!」
一筋の光もない暗闇で飛び起きる。呼吸は乱れ肌はじっとりと汗ばんでいた。横に寝ていたマティ先生は枕元の明かりを点け、心配そうに私の顔を覗き込む。
「どうしましたか?」
「えっと……」
「僕がいなくなる夢でも見ましたか?」
「えっ、どうしてわかったんですか?」
「ふふ、随分必死に僕の名前を呼んでいましたから」
「起こしちゃいましたよね…ごめんなさい」
「いえ、気にしないでください。それより…ほら、こっちに来なさい」
マティ先生は両手を広げ、私の身体を優しく包みそっと引き寄せた。大好きな匂いのする首筋に顔を埋めると、少し低い体温が伝わってくる。掌がゆっくり髪を滑り、気の緩みからか視界が滲んだ。
「…僕のせいですね」
「ち、違います!」
「いいえ、長い間君を不安にさせてきましたから…君を愛する資格は無いと自分に言い聞かせるために。それがどれほど君を傷付けたか…実に愚かだ」
「…マティ先生、ずっと一緒に居てくれますよね?」
広い背中に手を回し小さく尋ねるが、先生は黙って私の髪を撫で続ける。嘘でも良いのにと思いながら指先に力を込めると、泣く子を宥めるように背中をさすられた。
「先生、キスしてください」
マティ先生はクスリと微笑み、私の頬に手を添え軽い口付けを落とす。私が唇を押し付けると先生は角度を変えて深く交わらせた。生温い肉を味わうように舌先が絡み、呼吸も忘れて唾液を飲み込む。
「んっ…先生…好きです…はあ…もっと……」
「ええ…君が満足するまで…何度でも付き合いますよ……」
ゆるやかにベッドに押し倒され、首筋を舐められて嬌声が上がる。先生の長い舌は鎖骨をなぞり胸元へと近付いていく。私の肌は期待で熱っぽく上気し、秘裂が潤むのを感じた。
「アステル…こんなに汗をかくほど辛かったのですね……」
「あっ…恥ずかしいです…きゃっ♡あっ♡先生♡んっ♡」
「もっと君の可愛い声を聞かせてください……」
マティ先生は零れる乳房を掬い、固くした舌先で突起を転がし吸う。私はもどかしい快楽に腰を揺らし太腿を擦り合わせた。
「んんっ…はあ…先生…あっ♡」
「胸だけでこんなに感じるなんて…いけない子だ」
「ご、ごめんなさい♡でも先生が……」
「僕がどうしましたか?」
私を見下ろす顔には意地悪な笑みが浮かんでおり、その指は敏感になった乳首をグリグリ押し潰した。
「やあっ♡ああっ♡ダメ、です♡先生っ♡あっ♡」
「何が駄目なのですか?」
「そこ♡押しちゃ、ダメです♡ああっ♡」
「ふふっ、それなら自分で弄ってみますか?どうすれば一番気持ち良いのか僕に教えてください」
「ええっ…!」
「ほら、ここですよ」
手首を掴まれ自分の胸へと誘われる。羞恥心と背徳感が葛藤しつつも、促すような視線が無意識に手を動かしていた。触れる快感と痴態を見つめられる興奮が合わさり頭の中が真っ白になる。
「んっ♡はあ…はあ…んんっ♡あっ♡」
「ああ…いいですねえ……」
マティ先生は私のワンピースの裾を上げて脚を広げると、下着の上から割れ目をなぞる。切なく愛液を垂れ流すだけだった膣口は些細な刺激でも反応し指先に媚びた。
「ああっ♡」
「おや、もう濡れていますね…見られて興奮しているんですか?」
「んっ♡そんなことないっ♡あっ♡」
「アステル、手を止めてはいけませんよ」
「わ、わかりました♡あっ♡んっ♡はあ…はあ……」
「そうそう、その調子です。このまま一度イきましょうね」
先生は一定のリズムで表面を優しく擦り続ける。お腹の内側から押し上げられ、浮遊感が溜まっていった。
「手を止めないでえらいですね。ふふっ、そうやって先端を優しく苛めるのが好きなんですか?」
「ちが、やっ♡だめっ♡あっ♡はあっ♡マティ先生♡い、イきそうです♡」
「良いですよ。君の恥ずかしい姿をしっかり見ててあげますからね……」
「そんな♡見ないでください♡やっ♡あっ♡イく♡イっちゃう♡ん、ああっ♡♡」
ビクビクビクンッッ
先生の手を挟むように痙攣する太腿を閉じ、自らの乳首を摘まんで引っ張りながら絶頂する。妖しく光る青い瞳と見つめ合い、心地よい被虐心に陶酔した。
「はあ…はあ……」
「もっとヨくしてあげますよ。何も考えられないくらいにね……」
マティ先生は私の濡れた下着を脱がし、秘裂を拡げヒクつく膣口に舌を伸ばす。滴る蜜を掬うように下から舐め上げ、膨らんだクリトリスを舌先で掻く。すぐに身悶える快楽が押し寄せ、私は掠れた声ではしたなく喘いでいた。
ピチャッピチャッジュルッジュルルッ
「ああっ♡先生♡ダメっ♡イったばっかなのに♡また♡あっ♡イっちゃう♡」
「んっ…良いですよ…たくさんイきなさい……」
「先生♡んっ♡好きっ♡好きっ♡あっ♡い、イく♡イく♡イくっ♡イ、くっ♡」
ビクビクッビクンッ
魚のように四肢が跳ねた直後、入口に熱い塊が触れる。ドロドロに蕩けた膣は張りつめた亀頭もすんなり飲み込み、最奥まで犯されていった。
グチュッ、ズチュ…グチュンッッ
「ああっ♡」
絶頂の余韻が残る膣内を深く抉られ、再び思考が塗りつぶされる。マティ先生は背を反らせる私の腰を掴み、脈打つ太いペニスで何度も突き続けた。
グチュッズチュッズチュッズチュッグチュッッ
「やあっ♡ああっ♡あっ♡先生っ♡ダメっ♡まだ♡イってるのに♡」
「もっとイけるでしょう?子宮に集中しなさい…僕の可愛いアステル」
「んんっ♡♡」
艶っぽく耳元で囁かれて一気に下腹部が収縮する。濡れた粘膜同士が纏わりつき、麻薬のように脳内が幸福で満たされた。
ビクビクッビクンッ
グチュッズチュッグチュッズチュンッズチュンッ
「イった♡イったから♡あっ♡先生♡先生っ♡」
「まだイけますよ…ほら…身体の中から大きな波が迫ってくるのを感じるでしょう?」
「んっ♡感じちゃう♡んんっ♡うっ♡また♡イくっ♡気持ちいいの♡止まらない♡先生っ♡イく♡イく♡」
「僕もそろそろイきそうです…はあ…すごく気持ちいいですよ。分かりますか?君のナカが僕のに絡みついて…んっ…いやらしい音を立てていますね……」
ズチュッズチュッヌチュッグチュッズチュンッパチュンッ
熱のこもったマティ先生の瞳と煽られるような言葉にゾクゾクと背筋が震える。先生の逞しいペニスは子宮までの道をこじ開け、とめどなく溢れる愛液を激しく掻き出した。連続する絶頂に指先が痺れ力が入らず、痙攣が止まらない。
「ああっ♡あっ♡あっ♡ああ♡」
「くっ…搾り取られる…アステル、出しますよ……」
「あっ♡ううっ♡うっ♡んっ♡」
「はあ…はあ…最高ですよ。さすが僕の優秀な生徒ですね…アステル…イきます…!んっ…!」
「あああっ♡♡」
ビクンッッビクンッビクンッ
ビュルルッッッビューッッ
亀頭が最奥に突き入れられた瞬間、勢いよく大量の精液が噴き出す。私のナカは貪欲にペニスを絞り上げ、染み込む白濁液を恍惚とした表情で受け止めた。
「はあっ♡はあっ♡」
「どうですか、満足しましたか?」
「……まだです」
「ふふ、困った子だ」
「マティ先生」
「はい、何ですか?」
「『愛してる』って言って欲しいです」
「アステル、愛していますよ。誰よりも、何よりも君が大切です」
「私も先生を愛してます。これからもずっと、愛してます」
先生の手を握り、二度と離れないように指先を絡めた。
******
窓の外の闇がその濃さを増しても、私達は心の隙間を埋めるようにお互いを求め続ける。
パンッパンッパンッパンッ
「あっ♡あっ♡ああっ♡あっ♡」
「はあっ、はあっ…っ…アステル…また…出ます…!ああっ!」
「あああっ♡♡」
ビュルルッビューーッビューーッ
ビクンッビクンッッ
精液と愛液が何度も膣内で掻き混ぜられ、私はただ喘ぐだけの雌になり果てていた。マティ先生は腰を震わせ最後の一滴まで注ぎ込むと、荒い息を吐き、顔に張り付く長い髪をかき上げる。
「はあ…はあ…アステル、もう疲れたのではありませんか?」
「まだ、大丈夫です……」
「無理は禁物です。これ以上は身体を痛めてしまうかもしれません」
「でも……」
「やれやれ、今日の君は甘えん坊ですね」
「…ごめんなさい」
「ふふ、最近僕にあまり甘えてくれなかったので嬉しいです。ついに親離れの時期かと思っていましたよ」
「もう、子ども扱いはやめてください」
不満で尖らせた私の口にマティ先生はからかうようにキスをする。先生はそのまま耳の溝に舌先を這わせていった。
「んっ♡先生♡くすぐったいです♡」「でも好きでしょう?君は感じやすいですからねえ……」
耳の奥に息を吹き込まれた後、外側を軽く食まれる。卑猥な水音が脳内に直接響き、まるで先生に食べられているかのような錯覚に陥った。
「あっ♡もうっ…!耳はダメです…!」
「おや、ではどこが良いですか?この細く美しい首も…華奢な肩も…僕は愛おしくて堪らないのですよ」
「んっ♡ううっ♡先生はずるいです…私だって先生の全部が好きです。あの…先生はどこが気持ち良いですか?」
「ふふ、当ててみてください」
「…わかりました」
マティ先生の身体に寄り掛かり、さっき自分がして貰ったように耳をそっと舐める。固く滑らかな感触に吐息を零すと、肩に置いた掌から身体が強張るのが伝わった。
「おっと…驚きましたね」
「気持ち良いですか?」
「ええ、とても気持ち良いですよ」
「でも当たりじゃないみたいですね…残念…もっと下ですか?」
白い首筋に沿ってキスをしながら、他の場所を探るように触れる。引き締まった胸板に顔を寄せ、色素の薄い飾りを舌で円を描くように舐めていく。
チュッ…チュッ…ピチャッ…ピチャッ…ジュルッ……
「ん…君がそこまでしなくても…大丈夫ですよ」
「嫌ですか?」
「いえ、決して嫌ではないですが…………少し恥ずかしいですね」
「んんっ…ここもハズレですか?難しいな……」
「アステル…実は…っ…!」
私はマティ先生の脚の間に身体を割り入れ、顔を沈めて内腿を舐め上げる。横にあるペニスはカウパーを溢れさせみるみる勃ち上がっていき、ちらりと見上げると戸惑う瞳と目が合った。
「や、やめなさい…そんなところ…うっ……」
「もしかして当たりですか?んっ…付け根に近い方が…気持ち良いですか?」
チュウッ…チュッ…ピチャッ……
上目遣いで吸い付きながら尋ねる。ギリギリまで頭を入れ強く吸うと、白く薄い皮膚に赤い痕が残った。先生は頬を赤らめ口元に手を寄せ、堪えきれなくなったように時折声を漏らす。
「んっ、はあ…ええ、気持ち良いですよ。まさか君に責められるとは思いませんでしたが…これも良いかもしれませんねえ……」
「当たりですか?」
「ふふっ、残念ながらハズレです」
「そっかあ…あの…先生…うつ伏せになって貰えませんか?」
「いえ、もう十分君に良くしてもらいました。ありがとうございます」
「私、先生の背中が好きです…ダメですか?」
「…はぁ。仕方ありませんねえ」
渋々うつ伏せになってもらい、長い髪に覆われた隙間から傷だらけの背中が現れる。私が古く大きな痕を人差し指でなぞると、しなやかな身体がきまり悪そうに波打った。
「…醜いでしょう?」
「そんなことありません。綺麗ですし、私をずっと守ってくれた大好きな背中です…んっ……」
私は舌を伸ばし傷一つ一つをじっくり愛撫する。音を立てて肌に口付けながら、猫が毛づくろいをするように夢中で舐め続けた。
ピチャッ…ピチャッ…チュッ…チュウッ…ピチャッ…ジュルッ……
「ああ…君の舌は小さくて温かいですね…不思議な気持ちだ」
「んっ…当たり、ですか?」
「そうかもしれませんねえ…君に僕の弱さを受け入れて貰う快感を覚えてしまいましたよ。君は本当に悪い子だ……」
「…私は全部受け入れます。先生のことがもっと知りたいんです…大切な恋人だから……」
「はは…君を慰めるつもりが逆に慰められてしまいましたね。恋人、か……」
疲れて瞼が重くなる頃、先生は私をすっぽりと胸にしまう。頭を撫でて褒められ、お返しにたっぷりの甘いキスを全身に受けた。
「アステル、愛していますよ。君に出会えて僕は幸せです」
「私も幸せです…先生、大好きです」
*********
枕元の蝋燭の灯りだけが部屋を照らす。
先生と一緒のベッドで寝るようになって、先生はもしかしたら睡眠が必要ないのかもしれないと気付いた。でも、毎日私が眠るまで抱き締めてくれて、朝起きたら「おはようございます」って笑ってくれるのが嬉しくて、私は結局甘えてしまっていた。
「…先生」
「はい」
「先生は、どんな国に行ったことがありますか?」
「色々行きましたよ。暑い国も寒い国も、豊かな国も貧しい国も…国にすらなれなかったところにも」
「楽しかったですか?」
「……ええ。楽しかったですよ」
先生は首を傾げて笑う。私は少し切なくなって先生の胸に顔を押し付けた。
「先生は、また旅に出たいですか?」
「そうですねえ…君に捨てられたら傷心旅行でもするかもしれません」
「もう、そんなことしませんよ」
「ふふ、冗談ですよ。君はどうですか?といっても、既にロードオブグローリーで多くの国を訪れましたね」
「はい。でも私は、旅してみたいです…先生の行ったことのある場所に」
「僕の?」
「私はタントリーベ村に来てからの先生しか知らないから、それまで先生が何を見てきたのか知りたいんです」
「それは…長旅になってしまいますねえ…治安の良い場所ばかりでもありませんし、あまりオススメしませんよ」
「駄目ですか?」
「……君にはもっと明るくて綺麗な場所が似合いますから」
蝋燭の灯りが揺らめき、整った顔に影が落ちる。先生の瞳はこんなに綺麗なのに、と不思議な気持ちで見つめた。
「先生はあまり過去を話してくれませんけど…きっとたくさん辛いことや悲しいことがあったんだと思います。だから、同じ場所で楽しい思い出を作れたら良いなって思うんです」
マティ先生は一瞬目を見開くと、困ったように眉を下げて笑う。
「まったく…君って子は……ありがとうございます。いつか行きましょうね…僕の故郷にも。全部、聞いてくれますか?」
「もちろんです…ふふっ…楽しみだなぁ」
先生の温かい手が私を抱き寄せ髪を滑る。呼吸は一定になり、眠りの淵が迫っていた。
「おやすみなさい、僕の可愛い恋人」