久しぶりのデートに、私とディルさんは以前から気になっていたカフェに来ていた。ちらりと彼の方を伺えば、彼は微笑みながら私をじっと見つめている。
「ディルさん、どうかしましたか?」
「ん?いや、俺の奥さんは世界一可愛いと思ってさ♪」
「もうっ……」
「ははっ、赤くなっちゃって。可愛いねえ…ここ、クリームが付いてるぜ?」
ディルさんはおもむろに顔を寄せ、私の口の端にキスをする。驚きに心臓が跳ね、頬に熱が上った。
「きゃっ、こんなところで恥ずかしいです…!」
「そう?俺としてはもっとあんたを味わいたいんだけどな」
「それは…帰ってからにしてください」
私が小声で呟くと彼は目を細めて笑う。ディルさんはジャスミンティーを一口飲むと、少し低いトーンで切り出した。
「ずっとアステルとこうしていたいんだけどさ…実は明日から長期で遠征しなきゃならないみたいでねえ」
「えっ…長期ってどれくらいですか?」
「うーん、大体一ヶ月ってとこかな。ごめんね、新婚なのに奥さんを放ったらかしなんて」
「いえ、ディルさんの事情はわかってますし…気にしないでください」
「…ありがとう」
「あっ、それなら一つ提案があるんですけど」
「なんだい?」
「ディルさんが遠征中、タントリーベ村に帰っても良いですか?」
「えっ…?」
「村のみんなに会いたくて。それに、マティ先生やスラッシュもいるので安全だと思います」
「…そうだね。うん、久しぶりに顔出して来なよ」
「ありがとうございます!」
***
窓の外の景色が見慣れたものになっていく。私は村の入り口に立つ二つの人影を見つけるや否や、馬車から飛び降り駆け寄っていた。
「マティ先生!スラッシュ!」
「おやおや、そんなに走っては転びますよ」
「よお、久しぶり。長旅ごくろうさん」
「久しぶり!会いたかった!先生もお久しぶりです。お迎えありがとうございます」
「ふふ、どういたしまして。本当に久しぶりですねえ…君の結婚式以来でしょうか。元気そうで何よりです」
「アステルが帰ってくるって聞いて婆ちゃんがはしゃいじまってさ。お前の好きなもんいっぱい作って待ってるぜ」
「わあ、楽しみ!チルダさんにも早く会いたいな」
「ああ、そうしてくれ。つか、お前焼けたな」
他愛のない会話が楽しくて、心が満たされていく。子供の世話をしたり畑仕事したり、タントリーベに流れる時間は勇者になる前と何も変わらなかった。
平和で愛しい日々はあっという間に過ぎて、明日にはレジェンドラから迎えが来る。私は一抹の寂しさを抱えつつ、マティ先生の部屋で夜を過ごしていた。
「はいどうぞ、アステル。君がよく眠れるようにカモミールティーを淹れました。スラッシュも」
「ありがとうございます。ふぅ…一か月、早かったなあ……」
「…あのさ、アステル」
「何?スラッシュ」
「お前、ホントは寂しいんじゃねえの?なんか…会えない日の方が多いみてえだし」
「それは…そうだけど。でも仕方ないよ……」
「あいつにはあいつの事情があるのは分かるけどさ、お前を悲しませるのはなんつーか…ちげえだろ」
「…………」
「お前は頑張りすぎなんだよ。慣れない土地で無理すんな。別れろとは言わねえけど…たまには村に帰って来いよ。待ってるからさ」
「スラッシュ……」
「…結婚には賛成ですが、君を悲しませるのは先生として許せませんね。アステル、僕たちは何があっても君の味方ですよ」
「マティ先生…ありがとうございます」
目の前が滲み鼻の奥がツンとする。私は涙が零れる前にカモミールティーを急いで飲み切り、おやすみなさい、と笑って自分の部屋に戻った。
「……スラッシュ、あまりアステルを惑わすようなことを言ってはいけませんよ」
「わかってる。でもさ…あいつには幸せになってもらいてえし…それに、やっぱあいつのいる日常が俺にとっての幸せなんだ」
「気持ちはわかります。ですが、どうやら僕たちは彼に信用されてないようですから」
「…まさか」
「ええ、見張られていますよ。一ヶ月前からね」
****
レジェンドラの自室に戻るとディルさんがベッドに腰かけていて驚く。私もいつもと変わらない笑みを浮かべる彼の隣に座った。
「アステル、おかえり」
「ディルさん、ただいま。先に戻られてたんですね」
「ついさっきね。久しぶりの故郷はどうだった?」
「楽しかったです。みんな元気で全然変わらなくて」
「…もしかして、村に戻りたくなっちゃったかい?」
「えっと……」
彼の探るような視線に耐えきれず、私は顔を逸らした。その瞬間、唇を押し付けられベッドに引き倒される。
「んっ…!ディルさん…!」
「帰さないよ。あんたが望んでも、帰さない」
冷たいターコイズブルーに戸惑う自分が映る。ディルさんは自嘲するように表情を崩すと、私の手首を解放し頬を撫でた。
「はっ…そんな顔をさせたかったわけじゃないんだけどねえ…ほんと、何やってんだか。ごめんね、アステル。もしそうだとしても、俺には止める資格なんてないよ」
「そんな…ディルさんが大変なのはわかってますし、私もレジェンドラのために頑張るって決めましたから」
「やっぱりあんたは最高にいい女だよ。俺には勿体ないくらい。でもさ、あんまり俺を甘やかしちゃ駄目だぜ。まだアステルの夫でいさせてくれるなら…全部話してくれるかい?」
「…ごめんなさい。正直に言うと、少し寂しかったです」
「うん、話してくれてありがとな。あんたは何も悪くない。できるなら俺もアステルとずっと一緒にいたい…いくら愛しても愛し足りない。四六時中あんたを抱いて、愛を囁いていたいんだ」
「私もです。だから、ディルさんとずっと一緒にいられる未来のために待ちます」
私が微笑むと何故かディルさんは悲しい顔で笑い、優しく唇を塞ぐ。彼の薄い舌先が私のに絡みつき唾液が溢れる。私は彼の首に手を回し、舌を伸ばして夢中で舐めた。
酸欠で意識がおぼろげになる頃、ディルさんはそっと口を離し、あらわになった私の胸の先端を咥えた。下腹部まで快楽が駆け抜け、じわりと愛液が滲む。
「んっ…♡」
「アステル、綺麗だよ…どんどん色っぽくなっちゃって…お兄さん心配になっちゃうぜ」
「あっ♡私だって心配です…ディルさんは女性に人気がありますし…んっ♡」
「俺はあんたしか見えてないよ…それとも、俺の愛し方が足りなかったのかな?」
「ち、ちがいます…!やっ♡」
「ははっ、冗談だよ」
会話しつつも彼の手は自然に私をはだけさせ、全身をくまなく愛撫していく。ディルさんは既に潤む秘所に近付き、指を差し込み舌で花芽を弄ぶ。彼の指と舌は私の弱点を知り尽くしていて、瞬く間に蜜が溢れた。
「あっ♡そこは♡やあっ♡」
「感じすぎるといやって言うあんた、可愛いと思うぜ?もっとしたくなっちゃうねえ……」
「そんな♡あっ♡ディルさん♡待って♡ああっ♡」
「んっ…腰が浮いてるぜ、気持ち良いかい?ほら、アステル…正直に言ってみな」
ディルさんは膨らんだ私のクリを唇で食みながら、裏側を指の腹でゆっくりと擦る。溶けるように甘い快楽に腰をくねらせるが、達するギリギリのところで焦らされた。
「ううっ♡やあっ♡恥ずかしいです♡」
「んー、ずっとこのままイかせてあげないけど…いいのかい?」
「そんな♡ディルさんのいじわる♡」
「ははっ、俺が好きな子には意地悪したくなるタイプって知ってただろ?ねえ…あんたの可愛い声でおねだりしてよ……」
「……んんっ♡ディルさん……イかせて、ください……」
恥ずかしさに赤くなりつつも小さく呟く私を見て、彼は満足そうに笑い、敏感な部分を性急に責め立てた。強すぎる刺激に私の背は反り一気に昇りつめていく。
「あっ♡ダメ♡きもちいい♡イっちゃう♡イく♡んっ♡ああ♡」
ビクンッビクンッ
「はあ♡はあ♡」
「アステルのおねだり最高に可愛かったぜ…あんたを見てたら俺も我慢できなくなっちゃったんだけど…あんたと繋がってもいいかい?」
彼のペニスは大きくカサを広げ、逞しい腹筋に付きそうなほど固く勃起していた。漂う雄の色香にあてられ、私は受け入れる想像だけで膣口を締め付けてしまう。
私が頷くと彼は脚を広げゆっくりと挿入し始める。久しぶりの圧迫感に思わず足に力が入った。
「んっ…アステル、もしかして緊張してる?長旅から帰ってきたばかりだし、やっぱりやめておくかい?」
「大丈夫、です…はあ…はあ…やめないで……」
「…その目はずるいよ。あんまり今の俺を煽ると止まらなくなるぜ……」
ディルさんは太いペニスをカリまで引き抜くと、再び子宮を押し上げるほど突き入れる。深いストロークが繰り返され全体が熱く解されていった。
結合部は先走りと愛液が混ざりあい卑猥な水音を立てる。ピストンは段々速くなり、奥が温かく蕩け一つになっていく感覚だけが残っていく。
グチュンズチュンズチュングチュン
「はあっ、はあっ、好きだよ…アステル、好きだ…愛してる……」
「あっ♡私も♡好き♡大好きです♡ああっ♡ディルさん♡愛してます♡あっ♡きもちいい♡」
「んっ…参ったな…あんたが可愛すぎて…ちょっと…優しくできないかも。んん…はあっ……」
「おく♡きもちいい♡ああっ♡んっ♡イっちゃう♡」
「ねえ…アステル…ひょっとしてわざと煽って俺を試してる?もしそうなら…俺、あんたをめちゃくちゃにしちゃうかも…なんてね」
彼に瞳の奥を覗き込まれ、本能的に背筋の凍るような痺れが走る。膣内は彼の陰茎を強く絞った後、愛液を漏らしながら弛緩した。
「んっ…締め付けちゃうってことは…あたりなのかな?」
「ち、ちがいます♡あっ♡そこ♡ダメ♡やあっ♡」
「ははっ、今日のところはそういうことにしておくよ。んっ…そろそろ限界かな…アステル、出すよ…受け止めて……」
「はい♡あっ♡きてください♡んっ♡私も♡あっ♡」
「はあ…はあ…可愛いね…愛してる…はあ…んっ、うああ!」
「ああっ♡♡」
ビュルルルッビューーーーッ
ビクッビクッ
濃い白濁液が膣内に大量に注ぎ込まれ、お腹の中が燃えるように熱くなる。膣内が痙攣し爪先までピンと伸びて絶頂し続けた。ディルさんはまだ震える肉棒を引き抜くと荒い息の私を抱き寄せる。
「アステル、大丈夫かい?疲れてるのにごめんね」
「はあ…はあ……大丈夫、です…あの…ディルさん……」
「なんだい?」
「私も妻として…ディルさんに正直に言って欲しいです」
「えっ……」
「私がタントリーベに行きたいって言った時、少し困ってたように見えたので……」
「ははっ…参ったねえ。ほんと、あんたには敵わないな」
私がじっと見つめると彼は苦笑し、頭を撫でながら穏やかな口調で話し出す。
「…行かせたくなかったよ。アステルが家族みたいに大事に想ってて、俺の知らないあんたを知ってる人達に会わせたくなかった…もう帰ってこないかもしれないって不安でね」
「たしかに村の人達は大切です。でも、私が帰るのはディルさんのいるところですよ」
「ありがとう、俺は幸せ者だねえ…幸せ過ぎて怖いくらい。あんたを失ったらどうなるか…自分でもわからないよ」
私はディルさんの背中に手を回し抱き締め返す。彼の鼓動の一つ一つが愛しく思えて、耳を澄まし目を閉じた。
「アステル、愛してる。俺を選んだこと、絶対に後悔させない。一生かけてあんたを幸せにすると誓うよ」
「私も愛しています。ディルさんはすごく素敵で…優しくて…私の……すぅ……すぅ……」
「あらら…ちょっと無理させちゃったかな。俺ってばあんたのことだと歯止めがきかなくて困っちゃうねえ。はぁ…こんなんじゃ若様のこといえないぜ……」
彼は乱れ落ちる長い髪を寄せ、白い首筋に唇を押し付け赤い痕を残す。
「明日は髪、下ろした方が良いかもね」
そう耳元で囁いた。