間接照明の暖かな光が部屋をぼんやりと満たす。昼間に少しはしゃぎすぎてしまったのか、身体には心地よい倦怠感が纏わり付いていた。寝る準備を終え、欠伸をした私の目の前にホットミルクが差し出される。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます…ふぅ……」
「ふふ、眠そうだね」
「ごめんなさい、クルムさんともっとお話ししたいんですけど」
「ううん、気にしないで。目がとろんってして…可愛い」
「…恥ずかしいです」
「君の色んな表情を見ると、ああ、結婚したんだなって実感するよ…新婚旅行で言うなんて今更だよね。そろそろ寝ようか。アステルちゃんも疲れたよね。ベッドはどっちがいいかな?」
クルムさんはそう言って二つ並んだ一人用のベッドを見る。二人きりの時間は久しぶりで、心のどこかで期待していた私は思わず表情を曇らせてしまう。すぐに彼は心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「アステルちゃんどうしたの? 俺、何かしちゃった?」
「いえ、クルムさんは悪くなくて……」
「でも、君に悲しい顔をさせたのは俺のせいだよね…俺は何を言われても君のこと嫌いになったりしないから。だから、ね? 教えてくれないかな?」
彼の大きな手が肩に触れ、真っ直ぐな瞳で見つめられる。こんなにも顔が近いのに、心臓を高鳴らせているのは自分だけだと思うと切なくなった。
「その…私、クルムさんと……」
「うん」
「クルムさんと…同じベッドで寝たいです」
「うん……んっ⁉ えええっ⁉ いっ、一緒のベッドに⁉ 俺とアステルちゃんが⁉」
「駄目ですか…?」
「ううん! そんなわけない…でも俺の身体は大きいし狭いと思うよ。アステルちゃんはそれでもいいの…?」
私は赤くなった顔を隠すようにクルムさんの胸に飛び込み、広い背中に手を回した。彼の息を飲む音と早鐘を打つ鼓動が聞こえ、熱い胸板が上下した。
「あ、アステルちゃん……」
「私…クルムさんともっと……」
「ま、待って! その先は…俺に言わせて欲しい。ねえ、アステルちゃん、キス…してもいいかな?」
私が頷くと彼の顔が近付き柔らかい唇がそっと触れた。膝の上に置いていた私の指に彼のが絡み繋がれ、彼の大きな体と身を寄せ合う。
唇が離れそっと目を開けると、もう一度彼の鼻先が掠めて開いた隙間をぺろりと舐められた。私もおそるおそる舌を伸ばし、ぬるりと彼の舌先と合わさる。上下が入れ替わるように舐め回し、生温かい呼吸を共有して、腔内に満ちた唾液が混ざり合った。
「ん…はぁ…アステルちゃん…えっと…ベッド…行こうか」
「…はい」
何となく視線が合わないまま並んで腰掛けると、クルムさんは固い表情で私の寝間着のボタンに手をかけた。彼の指はぎこちなく奮闘するが、時間だけが過ぎていく。
「ごめんね。緊張して手が震えちゃって……」
「大丈夫ですか…?」
「も、もちろん! 落ち着け…落ち着け俺……ごめんね、男らしくリードできなくて」
「いえ…ゆっくりしてくれた方がうれしいです。その…私も初めてなので」
「あ…えっと…そうだね。うん、よろしくね、アステルちゃん」
時間をかけて全ての衣服が取り去られる。身体をまじまじと見つめられ、私は思わず手で覆った。
「そんなに見られると恥ずかしいです……」
「そ、そうだよね! 気付かなくてごめん!」
クルムさんは頬を赤らめると手早く自分の服を脱いだ。長い尻尾がパタパタと左右に揺れ、股間は大きく膨らんでいる。
「あっ! ご、ごめん…君に見られてるって思ったら勝手に…! はぁ…俺、かっこ悪いなあ…こういうことも、いつかはしたいと思ってたのに」
「もしかして、私が急がせてしまいましたか…?」
「ううん、そんなことないよ! 本当は結婚式の夜も考えてたんだけど…俺、君を傷付けるのが怖くて……」
「クルムさんにだったら…私……」
「駄目だよ、そんな可愛いこと言ったら…俺、止められなくなっちゃう……」
再び重ねられたクルムさんの唇を受けながら、仰向けに優しく押し倒される。鼻の頭を噛まれた後にその痕をぺろりと舐められ、舌は外耳や首筋に移っていった。生温い肉が肌を這う感触にゾクゾクと背筋が震え、太腿を擦り合わせてしまう。
「んっ……」
「はぁ…君の肌…すごく綺麗。胸…触ってもいいかな…?」
「は…はい」
「わっ…柔らかい……」
「あっ♡」
「ご、ごめん! 痛かった?」
「いえ…びっくりしただけなので大丈夫です」
「そっか、よかった…何かあったらすぐに言ってね」
クルムさんの厚い手の平で掬うように包まれ、くすぐったいような快感が広がる。彼はもう片方の胸の尖りを舌先で押し潰し、腔内に包み吸い上げた。
「んっ♡あっ♡」
「はぁ…アステルちゃん…んっ…可愛い…大好きだよ……」
「あっ♡クルムさん♡私も♡大好きです♡」
「アステルちゃん、さっきから足をもじもじさせてる…もしかして、ここに触って欲しいのかな…?」
太腿の間にクルムさんの手が差し入れられ、愛液塗れの割れ目を彼の指が滑る。彼は私の足元に身体を移動させると、脚を開かせその間に顔を埋めた。
「きゃあっ♡クルムさん♡恥ずかしいです♡」
「大丈夫、全然恥ずかしくないよ。俺が先に舐めておけば、痛みも少ないと思うんだ…んっ……」
ピチャッ…クチュッ…ピチャッ…ジュルッ……
クルムさんは舌を伸ばし秘所を優しく舐め上げる。膣口やその周辺、花芽や内腿の付け根まで時間をかけて丁寧に愛撫され、感度が高まっていった。
「はぁ…はぁ…あっ……」
「んっ……ど、どうかな…痛くない?」
「すごく…気持ちいいです……」
「よかった。俺…君と一緒に過ごせるだけで十分幸せだと思ってたんだけど…欲張りになったのかも」
「クルムさん……」
「…君のナカに挿れてみてもいいかな?」
「…はい」
クルムさんは頬を紅潮させ、緊張した面持ちで膨らんだ陰茎の先を膣口に当てる。大きな亀頭がめり込み、強い圧迫感とひりつく痛みに目を閉じた。
「んっ…!」
「アステルちゃん、大丈夫? やっぱり痛いよね…今日はここまでにして寝ようか」
「えっ……」
「君はもう十分頑張ってくれたし、これ以上は君の身体が心配だよ。続きはまた今度にしよう、ね?」
「待ってください…私は…最後までしたいです……」
「アステルちゃん……」
笑みを浮かべていた彼は困った顔で耳をへたらせる。わがままを言っているのは分かっていたが、欲張りになったのは彼だけじゃない。
「わかった。俺、頑張るね」
意を決したようにクルムさんは自分の人差し指を舐めて濡らすと、蜜壺にゆっくり沈めていく。指の腹でお腹の裏側を擦られ、くぐもった吐息が口から零れた。
「アステルちゃん…どう…? 痛くない…?」
「はい…んっ…ふぅ…大丈夫、です」
「もう一本指を増やすけど…そのまま力を抜いててね……」
「んんっ…!」
「く、苦しいかな…?」
「いえ…大丈夫です…っ……」
「少しこのままじっとしていようか…ゆっくり深呼吸して…焦らないで大丈夫だよ……」
「ありがとうございます……」
お腹の中に空気を吸い込むとクルムさんの指が体内にあるのを感じる。何度か呼吸を繰り返せば、慣れたのか身体から無駄な力が抜けていく。無意識の内に固く閉じていた瞼を開くと、心配そうにこちらを見つめる彼と目が合った。彼は優しく微笑み、空いた手を私と繋ぐ。
「少しだけ動かすよ…辛かったらすぐに言ってね」
「はい…んっ…はぁ…はぁ……」
「だんだん緊張が解けてきたね…えらいよ」
クルムさんの穏やかな声と単調な動き、疲れと眠気と緊張の反動が感覚を鈍らせていく。私の視界が霞むようになった頃、彼は息を飲み、十分に濡れた膣口に再び慎重に宛がった。
「いくよ……んっ…! あっ…入ったみたい。よかった…アステルちゃん、頑張ってくれてありがとう」
クルムさんは大きな手の平で、ぼんやりしている私の頭を撫でてくれる。私は浅い呼吸を繰り返し、膣内にある彼のペニスを締め付けた。
「はあ、アステルちゃんのナカ…あったかくて…気持ちいい……」
「はあ…♡はあ…♡んっ……」
「んっ…好きだよ…アステルちゃん……」
「私も好きです…♡クルムさん…大好きです…♡私…クルムさんと結婚できて幸せ……」
「アステルちゃん…可愛すぎるよ。俺もすごく幸せ…俺…こんなに幸せでいいのかな…どんどん欲張りになっちゃう……」
グチュッ…ズチュッ…グチュッ……
ペニスを挿れたまま揺らすようにゆっくり動かされる。彼と繋がっている幸福で温かく満たされ、奥が少しずつ広がっていった。
「あっ♡うっ♡はぁ♡はぁ♡あっ♡」
「はぁ…はぁ…アステルちゃん…苦しく、ない…?」
「はい♡あっ♡気持ちいいです♡」
「よかったぁ…俺でもちゃんとできてるんだね。君が気持ちいいと俺も気持ちいいよ……」
「んっ♡はぁ♡クルムさん♡」
「どうしたの? あっ……」
彼の腰に脚を絡めると、尻尾の柔らかい毛にくすぐられる。身体が密着し、胸が押し合い苦しいが、彼の汗ばんだ肌と匂いが鼓動を高鳴らせた。
「あ、アステルちゃん…重くない?」
「大丈夫です…クルムさん…大好きです」
「可愛い…その顔はずるいよ…俺もアステルちゃんのこと大好きだよ…んっ……」
クルムさんは眉を下げて私に深く口付け、控えめに私の舌先を舐めた。しばらく舐め合っていると、耐えきれなくなったように彼のの腰がゆるゆると動く。
グチュ、ズチュ、ズチュ、ヌチュッ
「あっ♡あっ♡はぁ♡んっ♡」
「はぁ…はぁ…アステルちゃん…愛してる…俺…嬉しくて胸がいっぱいだ……」
「クルムさん♡あっ♡私も♡愛してます♡好き♡大好き♡」
「俺も好きだよ…はぁ…アステルちゃん…可愛い…あっ…駄目…! そんなにされたら…もう、出ちゃうよ…アステルちゃん、このまま…君のナカに、出してもいい…?」
「はい♡クルムさん♡きてください♡」
「うん…はぁ…好き…好き…大好き…アステルちゃん…イくよ…はぁ…はぁ…あっ、うっ、ああっ!」
「ああっ♡♡」
ビュルルッビューーッ
ビクンッビクンッ
収縮する膣内に勢いよく精が放たれ、陰茎が脈打つ度に大量に注がれる。出し切るように何度か子宮を押し上げた後、クルムさんはそっと私を抱き締めた。
「はぁ…温かい…こうやってずっと君と抱き合って…繋がっていたいな……」
「私もです…ふぁ……」
「ふふ、疲れてたのに遅くまで付き合ってくれてありがとう…おやすみ、アステルちゃん」
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慈しむように頬を撫でられる感覚にそっと目を開く。すぐ近くにはクルムさんの顔があり、彼は私を見つめ優しく微笑んでいた。
「あっ、起こしちゃったかな…ごめんね。おはよう、アステルちゃん」
「クルムさん…おはようございます。もしかして寝坊しちゃいましたか…?」
「ううん、まだ寝てて良いよ。身体は大丈夫かな? ホテルの人に言って、部屋で食べられるように朝ごはんを貰ってきたんだ」
「ありがとうございます」
「そんな、お礼なんていいよ。元はと言えば俺のせいだからね。あのね、アステルちゃん。もしアステルちゃんが良ければなんだけど…俺たちの家のベッドも買い替えて、明日からも一緒に寝て欲しいな。駄目?」