イヅルノ湯けむり温泉欲情
「私、『おんせん』って初めてなので楽しみです。外で入る大きなお風呂なんて素敵ですね!」
「にゃは、気持ちええぞ~。地元では『疲れがあっちゅう間に取れる〜』とか『若返る〜』なんて言われとるらしくてな、新たな観光地になるかもしれんからのう。ちょっくら視察じゃ!」
「何が視察ですか。ただ遊びたいだけでしょう」
「ゼクウは別について来んで良かったんじゃぞ?」
「ヒガン殿と二人きりで旅行など彼女が危険過ぎます」
「危険な男はわしだけじゃないと思うんじゃがな〜。にゃ、着いたぞ」
白い息を吐きながら山道を登った先には、独特な香りと湯けむりが立ち込めていた。ヒガンさん達と別れて衝立だけの簡単な脱衣所に入り、バスタオルで身体をしっかりと巻く。立ち上る湯気で足元がよく見えず、二人の声が聞こえる方へ恐る恐る歩いていくと、隙間から金色と黒がちらりと覗いた。
「おお、待っとったぞ! ささ、わしの隣に来とくれ」
「……は?」
「えっと…イヅルノのお風呂は男女が一緒に入るんですね。すみません、知らなかったのでびっくりしちゃいました」
「そんな訳ないでしょう! ヒガン殿、これはどういうことですか!」
「にゃは~、山奥の秘湯に男湯と女湯がある方が珍しいと思うんじゃがのう。アステルさん、こっちこっち〜じゃ♪」
「ちょっと、寄らないで下さい! 男の肌が触れるなんておぞましすぎます! せめて彼女を真ん中にして下さい!」
「なんじゃ、ゼクウもアステルさんの隣がええんか」
「ヒガン殿の隣より幾分ましです」
「わがままな奴じゃの〜」
「私はどこでも大丈夫なので…くしゅんっ」
「ほれ、ゼクウがいじわる言うから、アステルさんが風邪を引きかけとるぞ。アステルさん、手を貸してくれ。床が滑りやすくなっとるからの。気を付けて入るんじゃぞ?」
「ありがとうございます。えっと…お二人の間に失礼しますね」
ヒガンさんに手を引かれ白く濁ったお湯に浸かる。湯気の割にお湯はそこまで熱くなく、身体はじんわりと温まっていった。横に座るヒガンさんはにこにこと笑いながら肩が触れるほど距離を詰め、ゼクウさんは私に背を向け不機嫌なオーラを漂わせている。
「アステルさん、熱くないか?」
「はい、丁度良いです」
「嫁入り前の若い娘が肌を見せるなど…信じられない……」
「相変わらずゼクウは姑みたいじゃな〜。本当は嬉しいくせに素直じゃないのう」
「嬉しくなどありません!」
「こ・ん・よ・く♪ こ・ん・よ・く〜♪」
「ゼクウさん、『こんよく』って何ですか?」
「知りません。あまり近付かないでいただきたい」
「ご、ごめんなさい」
素っ気なく言うゼクウさんの耳先は赤く染まっていた。ヒガンさんは謎の鼻歌を歌い終わると水面に零れ落ちた私の髪を掬い、目を細め微笑む。
「髪を上げたあんたも可愛いのう。うなじがせくしぃじゃ」
「ヒガンさん、そんなにくっついたら恥ずかしいです…!」
「お、ゼクウもちら見したぞ」
「見てません! ヒガン殿、勇者殿に近付き過ぎです!」
「にゃは♪ アステルさんにぎゅ〜っじゃ!」
「何がぎゅ〜ですか! 勇者殿から離れて下さい!」
私に抱きつくヒガンさんをゼクウさんが引き剥がそうともがき水面が荒く波打つ。二人が滑って怪我をしたら大変だと思い、止めようと私は身体を浮かせた。
「二人とも落ち着いて下さい…!」
「あなたがされるがままになっているからでしょう…は? あ…あなた…布が…!?」
「えっ? きゃあ! タオルがありません!」
「ヒガン殿! あなたでしょう!」
「にゃは〜何のことじゃ?」
「とぼけないで下さい!」
「アステルさん、実はこの温泉の効能には布が溶けるというものがあってじゃな」
「ええっ! そうなんですか!」
「そんなことある訳ないでしょう! あなたも信じないで下さい!」
「実はこの秘湯には妖怪ヌノハギ侍が出るという噂があっての……」
「ヒガン殿いい加減にして下さい! ちょっとあなた、私の後ろにいなさい。この男に近付くと危険です。私が新しい布を持ってきて…いや、それでは勇者殿の身が危険だ。ヒガン殿が責任とって新しい布を持ってきて下さい!」
「にゃは〜…仕方ないのう」
「きゃあ!」
「おお、すまんの♪」
勢いよく立ち上がったヒガンさんの一糸纏わぬ後ろ姿に、私は慌てて目を覆う。ぺたぺたという足音が遠ざかっていくが頬の熱は中々引かなかった。
「まったく…あれもわざとでしょうね。勇者殿、もう手を外しても大丈夫ですよ」
「そうですか、ありがとうございます…ふう」
「幸い湯は乳白色ですから、浸かっていれば見えないでしょう…あなた、顔が赤いですね。もしやのぼせたのでは?」
「本当ですか? 確かにちょっと熱いかもしれません」
「…少し、額を貸してください」
「は、はい」
ゼクウさんは私のおでこに張り付く前髪を寄せ、切れ長の瞳を近付ける。思わずぎゅっと目を瞑るが、僅かに触れる額と近過ぎる体温に心臓が暴れ出し息が詰まった。
「……熱いですね。頬も真っ赤だ。なぜ、目を閉じるのです?」
「すみません、顔が近くて……」
「…嫌ですか?」
「嫌ではないですけど…ドキドキして恥ずかしいです……」
「フッ、酷い顔だ」
「うう…あまり見ないで下さい」
「頬が赤くて…まるで林檎のようですね」
呆れたような、どこか楽しそうに呟く声が聞こえる。頬に手が添えられ、親指を滑らせるように何度か撫でられると、まつ毛が震えか細い声が漏れた。
「…っ、ゼクウさん……」
不意に上を向かされた直後、湿った唇に柔らかいものが触れ、驚きに目を開ける。唇の隙間からヌルリと生温かい舌が入り込み、角度を変えて更に深く舐められていく。いつの間にか背中に回された手は背筋に沿って下へ下へと降りていった。
「んっ、ま、待って…下さい…!」
「はあっ…あなたがそんな顔で…声で…誘うからですよ……」
「そんな…誘ってなんて、きゃっ! くすぐった、やあっ」
「……ゼクウ」
ぱっと身体が離れ前を見ると、ゼクウさんの首がぎりぎりと絞め上げられていた。白い首に白い指先が食い込むのを目の当たりにし、混乱しながらヒガンさんの腕を掴み叫ぶ。
「ヒガンさんやめて下さい!」
「ゼクウ、言い訳はあるか?」
「ぐっ…彼女は…まだヒガン殿のものになるとは、決まってません……」
「アステルさんに冷たい態度をとっておいて、わしを油断させるとは策士じゃのう。わざとやっとるんか?」
「違、い…ます……」
「そうじゃな、お前はきっと無意識なんじゃろう」
「落ち着いて下さい! ヒガンさん! ヒガンさん!」
腕を強く引っ張るとヒガンさんは赤くなった首からようやく手を離した。ゼクウさんは綺麗な髪を振り乱し激しく咳き込む。
「ゲホッゲホッ…っ…はあ…はあ…はあ……」
「すまんのう。あんたを怖がらせてしまったか?」
「私は大丈夫です…でも、ゼクウさんに酷いことするのはやめて下さい」
「何故じゃ?」
「暴力はダメです。ゼクウさんも悪気は無かったと思いますし」
「あんたは悪気が無ければ、口付けされても身体を触られてもええんか?」
「それは…違いますけど……」
冷たい笑顔のヒガンさんにゆっくり追い詰められ、背中に湯淵があたる。彼の腕の中に閉じ込められ、額の触れそうな距離で顔を覗き込まれた。
「な、本当はゼクウのことが好きなんじゃろ?」
「…わかりません。でも、お二人のことは大切に思ってます」
「いかん、いかんのう…そんな言葉じゃ全然満たされんわ。ふぁーすときすを奪われてちと頭に血が上っとるみたいじゃ…欲が溢れて止まらん」
ぎらぎらとした青い瞳が近付く。罰を受け入れるように目を閉じると、吐く息全てを飲み込まれるような激しいキスが襲った。逃れようとしても執拗に唇を追いかけられ、段々と意識は霞みがかっていく。
「んんっ…はあ…っ…ヒガンさん…んっ」
「わし以外の男に…色目をつこうたんか?」
「そんなこと…してません…!」
「そうか、じゃあ悪い虫が寄って来てしもうたんじゃのう。可哀想に…あんたはわしのものじゃと…分からせてやらんとな……」
「はあ…はあ…もう…無理です…んっ…きゃあ!」
身体が回転し、淵の岩に手首を抑えつけられて腰を突きだす形になる。脚の間に太い指が滑り込み割れ目に沿って撫でられると、とろりとした愛液が滲んでいった。
「流石にここはわしが初めてかのう……」
「待って下さい…! ああっ♡ダメ、です…んっ♡恋人でもないのにこんなこと……」
「あんたはわしの花嫁さんじゃ…わしのことも旦那様と呼んでええんじゃぞ?」
ゆっくりと指が内部に侵入し、揺らすようにぐちゅぐちゅと動かされる。未知の感覚に頭が追い付かず、腰を揺らすと背中に密着するように圧し掛かられた。岩肌と私の間にはヒガンさんの腕が入り込み痛くはないが、全身に降り注ぐ愛撫からも逃れられない。
「あっ♡何、これ…やっ、あっ♡」
「あんたとの初夜はもっと優しくしたかったんじゃが…痛くはないか?」
「痛くは、ないですが…変な感じです…やめ、ませんか…こんなところで……」
「嫌か?」
「嫌ではないですけど…今のヒガンさんは、いつもと違う気がします……」
「違わんぞ? わしは普段あんたが他の男と仲良うしてるだけで、気が狂うほど嫉妬しとるんじゃ…表に出さんだけでな」
お尻に擦り付けられていた硬いものが濡れた秘所に滑り込む。ぐちゅりという生々しい音と粘膜が引き裂かれるような熱さが全身を貫いた。
「ああっ!」
「んっ、力を抜いとくれ…アステルさん」
「っ、そんな、無理、です…入りません…!」
「…すまんな、わしは我儘で…欲深い男なんじゃ」
「んんっ、ヒガンさん…そんな…やっ、あっ」
「あんたの肌が紅く色付いて綺麗じゃのう…艶っぽいわ。あんたの身体の隅々までわしの痕で埋め尽くして…取れんように毎日新しく付け直しちゃる」
ヒガンさんは低く呟き、汗の滲むうなじに口付ける。私が荒い息を吐き身体が弛緩すると、彼は腰を押し付け奥を抉り進めた。永遠とも思える時間の後、全てが挿入されたのかは分からないがゆっくりと抜き差しが始まる。水の跳ねる音は軽いのに、突かれる度に内臓が押し上げられ殴られるような重い衝撃が襲った。
「ああっ♡やっ♡あっ♡ああっ♡あっ♡あっ♡」
「可愛い声じゃのう…ますますおっきくなってしまうわ。そんなに叫ぶと誰かが来てしまうかもしれんぞ?」
「えっ…! あっ♡んっ♡んっ♡」
慌てて手で口を押さえるが、押し出された喘ぎが漏れる。息苦しさでぎちぎちと締め付けるのもお構いなしに動きは段々と早くなっていった。
「わしは別に見られても構わんのじゃが…あんたの裸を見た男は殺してしまうかもしれんのう……」
「んんんっ♡んっ♡んっ♡」
「はあ…はあ…あんたを抱いてるなんて、夢みたいじゃわ…もう…果ててしまいそうじゃ…すまんのう…アステルさん…っ…イくぞ…うああっ!」
「ああっ♡」
ビュルルルルルッ
強く腰を引かれ一際深くまで接合する。お腹の中に熱くどろりとした液体が満ち、痙攣と共に体外に流れ出ていく。私が膝から崩れそうになると、ぐいっと手を引かれゼクウさんに抱き締められていた。
「…次は、私の番です」
「まだ折れんかったか」
「馬鹿にしないで下さい。何があっても彼女は譲れません」
湯の中で座る彼の上に乗せられ、ずぶずぶと差し込まれていく。未だ開かれて間もない膣口に彼の亀頭が食い込んだ。
「ああっ♡ゼクウさん、待って下さい…!」
「くっ…狭い…全然入っていきませんね…それに…座ったままだと動き辛い……」
ざばあっとゼクウさんが私を抱えたまま湯船から立ち上がると、私は彼に幼い子供のように抱きつく形になった。
「きゃあ!」
「腕を私の首に回して下さい。脚も腰に巻きつけて、ほら、早く」
言われた通りに急いで腕と脚を回し絡める。ゼクウさんの逞しい胸板に乳房を押し付け密着すると、重力で剛直が深く突き刺さっていく。
「ああっ♡これ♡だめ♡ゼクウさん♡おろして♡」
「お断りします。これなら奥まで入りますね。あなた、上を向いて舌を出しなさい」
「はあ…はあ…こ、こうですか…? んっ♡」
ゼクウさんは私の舌を吸いながら、お尻を鷲掴みにし揺さぶり始める。乳首が擦れ硬くなり、下半身から滲む愛液が潤滑油となって陰茎を飲み込んでいく。
「んんっ♡んっ♡奥まで♡きてる♡刺さってる♡」
「はあ…んっ…だらしのない…顔ですね…ヒガン殿と…どちらが気持ち良いですか?」
「わ、わかりません♡あっ♡力が抜けて♡落ちちゃいます♡」
「もっと…縋り付きなさい…私を選ぶまで…下ろしませんよ……」
ズチュッグチュッグチュンッグチュンッパンッパンッ
「む、無理です♡力が♡入りません♡あっ♡やっ♡」
「なぜ頑なに選ばないのですか…! やはり…私ではなくヒガン殿が良いのですか? 私では満足出来ないのですね…!」
「ちがい、ます♡本当に♡選べないんです♡」
「私はこんなにもあなたを想っているというのに…本当に…残酷な方だ…くっ…そろそろ…出しますよ…んっ、うああっ!」
「あああっ♡」
ビュルルルルッビクビクッビクンッ
ゼクウさんは脱力した私を抱え、湯船の中に降ろす。ヒガンさんは私に近付くと真っ赤な耳に囁いた。
「さあ、アステルさん。どっちが気持ち良かったかのう?」
「はあ…はあ…それは…ど…どっちも…です」
「答えになっていません。私かヒガン殿か、はっきりしてください」
「決められません……」
「そうか…残念じゃ。分からんなら分かるまでやるしかないのう」
「そうですね。残念ですが仕方がありません」
「えっと…もう十分温まったので…私そろそろ上がりますね」
二人に背を向けて距離を取ろうとする、が、身体は前に進むどころか後ろに移動し、肩と腰に腕が回っていた。
「どこに行くのですか? 話はまだ終わっていないでしょう」
「にゃは〜逃がさんからな、わしの花嫁さん♪」
♥
「ヒガン、さん♡もう♡あっ♡許して下さい♡」
「そろそろわしに決めたかのう?」
「や♡あっ♡そんなの♡できません♡」
「わしはあんな独りよがりじゃのうて、あんたが善くなるように可愛がってるじゃろ? ほれ、ここはどうじゃ?」
そう言ってヒガンさんは膣口付近を捏ねるようにかき混ぜる。膣内は二人に時間をかけて解され、陰茎を何度も受け入れる内に全部を飲み込めるほど柔らかくなっていた。全身はどんどん敏感になっていき、絶頂の間隔が短くなる。
「あっ♡んっ♡やっ♡あっ♡」
「はあ…はあ…気持ちええか? どれ、豆も一緒に…可愛がってやろうか」
「ああっ♡そこっ♡そこは♡だめっ♡やあっ♡ああっ♡」
「わしの嫁さんは感じやすくて可愛いのう…これから楽しみじゃ……」
「もう♡やだ♡抜いて♡イきたくない♡イきたくない♡イく♡イく♡イくっ♡」
「すまんの…わしも我慢できんくなってしもうたわ…一緒にイこうか…アステルさん…また…イくぞ…はあ…はあ…んっ…くっ」
「あああっ♡♡」
ビュルルルルッ
ビクンッビクンッビクンッ
なお硬さの残る陰茎がずるりと抜かれ、収まりきらなかった白濁液が溢れ出しお湯に溶ける。連続で達する身体には引かない余韻が溜まっていった。私は剛直を宛がうゼクウさんに泣きそうな顔で懇願する。
「ゼクウさん♡まだ♡イってるから♡もう♡無理です♡許して♡」
「お断りします」
ジュプンッッ
「あああっ♡イってるのに♡挿れられて♡またイっちゃう♡」
「ナカが震えて…すごいですね。私のも全部飲み込めるようになって…随分と淫乱な身体になってしまったようだ」
「やあっ♡やだ♡抜いて♡気持ち良すぎて♡おかしくなる♡」
「抜きませんよ…何度でも…イけば良いでしょう…!」
ズチュッズチュッグチュンッズチュッパンッパンッ
ゼクウさんは激しく腰を振り、肉同士がぶつかる音が大きく響く。色々な液体で全身が濡れ、ぐちゃぐちゃになった結合部を赤黒い肉棒で蹂躙され続けた。
「ああっ♡ゼクウさん♡ゼクウさん♡あっ♡イくっ♡イくっ♡」
「あなたはそうやって誰でも受け入れて…見せ付けられる私の身にもなって頂きたい…!嫌ならもっと抵抗して下さい…!」
ゼクウさんは私の湿る首筋に甘く歯を立てる。不意な刺激に身体の力が入り、締め付けの快感で容易に絶頂を迎えた。
「いっ、やああっ♡」
「フッ…噛み付かれて達するなんて、被虐趣味でもあるんですか?」
「あっ♡ちがいます♡そんな♡んっ♡あっ♡」
「私を随分と甚振るので、てっきり…嗜虐の方かと思っていましたよ…!」
「そんなこと♡あっ♡してないです♡ああっ♡激しい♡んっ♡イくっ♡」
「あなたのその思わせ振りな態度が…どれ程男を狂わせるのか…分かっていないようですね…!」
パンッパンッパンッパンッパンッ
「ゼクウさん♡あっ♡イってる♡もうイってる♡あっ♡またイくっ♡」
「この…引き裂かれるような胸の痛みに…まだ、耐えろというのですか…! 早く…私のものになって下さい…くっ…んっ…!」
「あああっ♡♡」
ビクンッビクンッビュルルルッ
大量の濃い精液が子宮に注がれる。本能的な危険を感じ這って逃げようとするが、笑顔のヒガンさんにやんわりと阻まれた。
「これ以上は♡むりです♡こわれちゃう♡おかしくなっちゃいます♡いれちゃやだっ♡」
「にゃ? わしを選ぶって決めたんか?」
「選べません♡でも♡もう♡やあああっ♡」
無慈悲に太い杭が淫らな音を立て蜜壺に沈められる。笑顔で見下ろすヒガンさんの視線に撫でられるだけでゾクゾクと背筋が震え感じてしまう。
「わしかゼクウか選ぶまで続けるって言ったじゃろう?」
「あっ♡ごめんなさい♡でも決められないんです♡ゆるしてください♡また♡イく♡イくっ♡」
ビクビクッビクンッ
「はあ…はあっ……」
「動かんのにイってしもうたんか…いーっぱいイけて偉いぞ。わしの嫁さんはえっちで可愛くて最高じゃが…ちっと浮気性なのは困りもんじゃな…わし以外では満足出来んように躾けてしまおうかのう?」
ヒガンさんは節榑立った指を絡め私の手を持ち上げると、目の前で手首に噛み付いた。噛み痕を這う赤い舌から視線が離せない。彼は掠れた声で悲しげに呟く。
「こんな男に好かれてしもうて…あんたは不幸じゃな」
「…っ、ちがいます! 私は…ヒガンさんの笑顔に、何度も助けられてます…!」
「アステルさん……」
「私の好きな人を否定するのは…たとえヒガンさんでも許しません!」
真っ赤な顔で息も絶え絶えに言葉を紡ぐ。ヒガンさんは一瞬目を見開くと、困ったように笑った。
「にゃは〜…こりゃ参ったのう。あんたには敵わんわ…結婚する前から尻に敷かれちゅう」
「す、すみません…言い過ぎました」
「いんや、嬉しくてどうにかなってしまいそうじゃ。あんたはわしの運命…あんたが勇者じゃのうても、わしは絶対好きになる。もし出会わんでも世界中探し回って必ず見つけ出してみせるわ」
「ふふっ…私もヒガンさんのこと探しますね」
「にゃっは〜♪ わしらのらぶらぶぱわぁですぐに会えそうじゃな。愛しとるぞ…わしの花嫁さん」
彼は大きな手を伸ばし、優しく私の頭を撫でる。触れるだけのキスをして、しばらく見つめ合う。
——そんな甘い雰囲気は冷ややかな声で一刀両断された。
「何をいい感じにまとめようとしているのですか。私もいるのですから二人の世界に浸らないでください」
「にゃ? 人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて何とやらじゃぞ。わしの勝ちを認めて素直に身を引いたらどうじゃ?」
「勇者殿、あなた私を捨ててヒガン殿を選ぶのですか? 私が大切という先ほどの言葉は嘘だったのですか? 私に想われることは不幸だと?」
「違います…選べません……」
「…でしたら、私はまだ負けていません」
ゼクウさんは、ヒガンさんから強引に私を奪い去ると、後ろから思い切り突き上げた。そのまま手首を掴まれ、腰を叩きつけるように激しい抜き差しが始まる。
「あっ♡やっ♡あっ♡ああっ♡」
「はあっ、はあっ、いいですか…一度しか言いませんから、よく聞きなさい」
挿れられたままきつく抱き締められ、耳に真剣な声が熱い息とともに吹き込まれた。
「…お慕いしています、勇者殿。私の身も心もあなたのものです。この身が果てるまで、あなたを守り抜きます。だからあなたも私だけのものになりなさい……返事は?」「私も、ゼクウさんのことが好きです……ああっ♡あっ♡」
「フッ…その言葉、忘れませんよ…! 嫉妬深い男を好きになったのですから、覚悟してくださいね…!」
「アステルさん、わしのことは好きか?」
「ヒガン殿、今は私の番でしょう…! 邪魔しないで下さい」
「わしもアステルさんに好きって言われたいんじゃ~!」
「んっ♡ヒガンさんも好きです♡大好きです♡」
「にゃは〜♪ わしもあんたのことがだーいすきじゃぞ」
「私は大好きではないのですか?」
「ゼクウさんも♡大好きです♡二人とも大好きです♡んっ♡あっ♡気持ちいい♡」
ゼクウさんに腰を固定され突き上げられながら、ヒガンさんと貪るようにキスをする。身体は熱くふわふわして何も考えられない。
「アステルさんが気持ちええなら三人もありかのう……」
「無しですよ…! 今は引き分けですが…いつか私だけのものにします…!」
「にゃは〜わしが勝っても心中せんでくれな?」
「ヒガン殿こそ…私が選ばれても駆け落ちしないで下さいよ…!」
「やっ♡もうっ♡むり♡げん、かい♡」
糸の切れた人形のようにお湯の中に倒れ込み、私は意識を手放した。
♥
「あれ…私…?」
目を開くと、ぼやけた視界の中ヒガンさんの心配そうな顔が見える。
「アステルさん、大丈夫か? 水は飲めるかのう?」
「ヒガンさん…ありがとうございます。えっと、ここは…?」
「近くの旅館です。あなた、温泉でのぼせて倒れたんですよ」
「そうだったんですか…頭がぼーっとしてあまり覚えてないんですけど…何か…いえ、なんでもないです」
湯煙の中のような脳内に一瞬いかがわしいイメージが湧いて必死にかき消す。口になんて出せない。そう、これはきっと——
「夢じゃないぞ?逃さんからな、わしの花嫁さん♪」