お昼寝
「今日は、これ持ってきたから…一緒に寝る」
よく晴れた暖かい日。ファルさんはそう言って芝生の上にネコのキャラクターが描かれたビニールシートを敷いた。
「可愛いですね。どうしたんですか?」
「セルピコから…貰った。お前を地面に座らせるのは…良くないって、言われた」
「そうだったんですね。天気も良いですし、寝転んだら気持ち良さそうです」
「ん…お前が嬉しいなら…俺も嬉しい」
2人並んで寝転び青空を仰ぐ。新鮮な空気と心地よい風が眠気を誘った。
「綺麗な空ですね」
「ん…綺麗だ」
「もう…私じゃなくて、空を見て下さい」
「空よりお前を見てた方が…楽しい。アステル…もっとこっちに来い…んっ、可愛い……」
ファルさんは私を抱き締めるとそっと唇を触れ合わせる。それだけで意識がはっきりし、心臓が破裂しそうになる。
「ファルさん…こんなところで……」
「大丈夫だ…誰も見てない。お前とのキスは…甘い。もっと、して良いか?」
「…あと一回だけですよ」
「ん、わかった」
彼は優しく微笑み、啄むだけのキスをする。そのまま私の胸に顔を埋め、強く抱き締めた。
「アステル…頭、撫でて…?」
「はい」
私がふわふわの髪を撫でると、猫のように顔を擦り寄せた。
「ん、気持ち良い…お前の手…好きだ。お前の胸も柔らかくて、好きだ。あったかくて、いい匂いも…する。ミルク、飲みたい……」
「あの……出ませんからね?」
「出ないのか……」
ファルさんは少しがっかりした表情を見せる。背中を撫でられたり、わき腹を軽く摘まれたりしてビクリと身体が反応する。
「背中も…腰も…すべすべしてて気持ち良い…お腹も…ぷにぷに……」
「きゃっ!ファルさん、くすぐったいです…!もうっ!怒りますよ?」
「やり過ぎた…?ごめん、許して…?」
ファルさんは上目遣いで首を傾げ、その可愛い仕草に胸が締め付けられる。大きな瞳で覗き込まれると、負けを認めて呟くしか出来ない。
「……今回だけです」
「ん…好きだ…アステル、大好きだ……」
ファルさんの香りに包まれ、眠りの海をゆらゆらと揺蕩った。